これからの住宅について

午前中、地元の方のお宅を訪問した。

 

以前、手作り新聞を配っていたとき、声をかけてくれた方である。久しくお会いしていないので、資料を持ってうかがった。

 

今日は、ものすごく寒い上に、風が強いので、「中に入れ」と、リビングに案内してくれた。そこで、数十分ほど、これからの家づくりで、気をつけた方よい住宅の性能についてお伝えした。

 

その方は、「へーそうなんだ」と言う感じで、聞きなれないどこか自分とは関係ない世界の話でも聞くかのよう表情で、私の方を見ながら話を聞いてくれた。

 

しかし、これが一般の方の普通の反応なのだろう。

 

家づくりの楽しみの大半は、素材や器具や間取りと言った頭に思い描けるビジュアなイメージが実現することとその後の生活にある。

今、さらっと生活と書いたが、その生活の細部に住宅の性能が関係していることを一般の方が想像するのは難しい。

 

何かが足りないという感覚は、何かがあった時の状態を知っているから分かることだ。知らなければ、そんなものかと受け入れてしまう。

 

まして、建築士が設計したとなれば、それなりに色々考えてくれているのだろうと思ってしまう。しかし、現実には、2020年から始まる予定だった省エネ基準の義務化は撤回され、説明義務のみとなっていることを一般の方は知らないであろう。知り合いの建築士は、建築基準法の「国民の生命、健康および財産の保護を図る」ということに反するのではないかと訴えていた。

 

建築士の資質の維持・向上に終わりはない。 

設計技術は、努力すればなんとかなるものだ。

知らないというある種の無邪気さが、社会にとって一番舘が悪い。