三郷団地は古い仕様なので、カビが発生し、住民を悩ませている。
特に熱橋となる部分や押入れ、家具の背後に、よく発生している。
原因は明らかで、十分な断熱材が充填されていないからだ。
三郷団地の壁は、北側の壁と外部に面する東西面の壁に断熱材が入っている。
室内側の空気が壁の中に流入しないように気密シートが貼られているので、壁内にカビが発生することはない。
しかし、厚さ30mmの密度の薄いグラスウールなので、室内の壁の表面にカビが発生する。
冬型の表面結露により、カビの生育条件が揃ってしまうからだ。
それ以外の壁はコンクリートの躯体にビニールクロスや塗装、蛭石吹き付けとなっている。
当然のことながら、冷たくなった室内側の壁には結露が発生し、カビが発生する。
建築物側でできる対策は、断熱性能を上げることである。
平成28年省エネ基準より厳しいZEH基準を目安にすると、壁の平均熱貫流率0.59W/㎡Kとなる。
コンクリート200mm/断熱材30mm/合板12mmという壁の構成を想定すると、熱伝導率0.0232W/mK以下の断熱材を使うと良いことが分かる。
高性能な押出ポリスチレンフォームを使い、コンクリート躯体に接着し、隙間なく断熱材を充填すれば、表面結露は発生しないだろう。
既存の胴縁のサイズを考えると、このやり方が一番適切であると、私は思う。