古民家について

先日、近くの書店で、古民家の改修工事を特集している雑誌を見つけ、立ち読みをしたところ、前職場の施工事例が掲載されていた。それ以外にも、改修のポイントについて簡単な解説がされているので、購入してみることにした。

 

古い木造建築の特徴は、金物で固めず、貫を使った柔構造にある。新築では、耐力壁を設けることで、耐震性能を向上させる手法が一般的で、どのような方法がベストなのだろう、と疑問に思っていた。

 

掲載されている改修事例は、結局のところ、耐力壁を設け、金物で固める方法が採用されていた。新しい柱梁の補強が多く、引き抜きに応じたプレート金物が付けられるので、古民家本来の真壁の意匠性は全体的に消えていた。代わりに、和モダンと言われるようなデザインでまとめられていた。白い漆喰の壁面と木の建具と枠でコントラストを付ける手法である。基本的に天井は貼られているが、玄関等の一部の部屋は梁を表し、開放的でダイナミックな演出が行われていた。

 

工事期間は一年と記載されている。本格的な古民家改修は、このくらいの期間になるのかと驚いた。ある程度方針を決め、解体してから詳細な設計を行うのだろう。

 

最近、地元で建設工事が始まっているなと思って見てみると、古い入母屋の住宅が解体され、ハウスメーカーの住宅建設が始まっていることが多い。彦糸Pホーム改修のお客様Mさんも、地震で揺れるので怖いという理由で、古い木造住宅を解体し、ハウスメーカーの最新仕様の住宅に現在お住まいである。

 

古民家は基礎がないことが多い。並べた石の上に土台が載せられていたりする。ほとんどの場合、土台と柱の脚部が腐食している。そうなると、曳き家工事が発生し、建物全体を持ち上げ、柱の脚部の交換や基礎工事が発生する。当然、工事費用が発生する。

 

以前、私は古民家のリフォームをやったことがある(戸塚のリフォーム)。リフォームではあったが、古い既存部の取り合いの処理や内装選びが、いつもと異なり難しかった記憶がある。フルリフォームとなると、更に多くの経験と知識が必要である。

 

大きな決断をするクライアントの想いを受け止める事ができるだろうか、と今の自分を振り返ってみた。