余った材料で_1

三郷団地S改修では、小学生G君が色々なことにチャレンジし、達成感を味わえるように、工事内容を工夫した。例えば、古い棚板が二枚余ることになったので、収納BOXを作る提案をした。

 

そのままお客様にお渡ししても、長さがあるので使いにくいし、邪魔になることが予想される。こちらで処分しても良いが、厚みのあるラワン無垢板なのでもったいない。保管する倉庫も無いし、そもそも塗装面が汚れているので、他の工事で使えない。どうすれば良いかと考えた末、G君に収納BOXを作る機会にしてはどうかと思いついた。初めて電動工具を使う機会にもなる。男の子なら興味を持つだろう。お母様S様にご提案すると、喜んで受け入れてくれた。

 

採寸すると、800程の高さの収納BOXが三個作れそうだった。作ってもらうと言っても、材料取りから行うのは難しい。そこで、予めこちらでパーツを加工しておき、組立てもらう工程をやってもらうことにした。そうすれば、工程の一部とはいえ、達成感が味わえるだろう。

 

このアイデアは、知人の料理研究家Aさんから聞いたエピソードがヒントになっている。Aさんの方で予め食材を加工しておき、最後の炒めて盛りつける工程だけをやってもらうレッスンを、ある生徒さんに提供したら、とても喜んでくれたという。普通の料理教室は、全ての工程を生徒さんに取り組んでもらう。そのやり方は、料理が苦手な人にとって、複雑で難しいのだろう。一番の問題は、良い悪いがあって、それを指摘され、修正を迫られる点が苦痛なのだろう。つまり、作れたかもしれないが、細かく色々な点をダメ出しされるからである。この話を聞いて、私は考え方を改めることにした。関わった工程が一部だけだとしても、お客様は満足感が得られるのだ。そのために出来ることを一生懸命やろうと思えるようになった。

 

慣れない電動工具に苦戦しながらも、何とか三個組み立ててくれた。お母様S様も手伝ってくれたので、親子で協力し合い、物事を完成させる機会ともなった。

 

その後、G君は電動工具を購入し、自分の部屋を改造したりしているという。やればできるという自信を得る機会となったのかなと、提案した甲斐がありました。