狭小住宅の計画のポイントは、①便所・浴室・階段を端に固めること、②それ以外を広いワンルームにすること、③そこに、窓の位置を工夫し、眺望を確保することで、部屋に広がりを与える、この三つである。
そのポイントを考慮し設計した住宅が、塚越の家である。これまで、手掛けた仕事の中で一番小さな住宅である。2階建てで、建築面積6m×5m程しかない。敷地が9m×6m程で、軽自動車を一台駐車できるスペースを確保しようとしたからである。内部は、天高を気持ち高くしたので、狭さを感じさせない。むしろ、コンパクトで楽しい雰囲気になっている。
2階は、大きめの窓を高い位置に計画し、隣家からのプライバシーに配慮している。立つと、外の景色が見え、椅子に座ると、完全に隠れてしまう。開放性と閉鎖性を併せ持った不思議なお部屋となっている。この仕事を通して、密集地に計画する手法を発見することが出来た。