瓦屋根は、夏の室温の上昇を緩和する効果がある。それは、瓦が比熱の大きい材料だからである。別の言い方をすると、その材料を温度上昇させるのに大きな熱量が必要ということである。土鍋とフライパンを想像すれば良い。瓦は土鍋である。瓦の裏面が温度上昇するのに時間が掛かり、熱くなり放熱される頃には夜になり冷やされる。
地震に弱いという理由で、瓦屋根ではない家を作ろうとする方が多い。地震で倒壊する古い家のTV映像を何回も見せられると、そのように思ってしまうのだろう。本当は、屋根の重さに対して耐力壁が少ないこと、あったとしてもバランスが悪いこと、仕口を金物で固定されていないこと、この3つが主な原因である。
彦糸地区を歩いていても、新しく建てられる住宅の屋根はコロニアル葺きばかりである。ハウスメーカーの標準仕様である。風格のある古い日本家屋は、活用されることも無く、壊されるしかないのであろうか。設計者の怠慢であると言わざるを得ない。