昨年、押入をリフォームしたお客様から問い合わせがありました。着物をしまっていた箪笥の引出を何かに利用できないかという問い合わせである。桐でできた綺麗な引出だった。その引出に荷物を置いて、天袋にしまって使えないかというアイデアを、お客様はお持ちだった。現物を見ながら現地で考えると、むしろ引出にしまうと使いずらいことが、なんとなく想像できた。
そもそも、お客様の要望は、天袋の収納量を増やしたい訳でもなく、天袋の使い勝手を良くしたい訳でもない。自分の人生と共に歩んできたその家具を、要らなくなってきたからと言って捨ててしまうのが、気持ち的に抵抗があるのだ。いずれ捨てることになるかもしれないが、もうしばらく一緒に暮らしていたい。そのような心情なのであろう。
その気持ちが理解できたので、私は、その箪笥を縦に半分に分け、二つの家具にリメイクしてはどうかと提案した。高さを低くすれば、天袋に入れられる。また、綺麗にリメイクすれば、思い出の品として、同居している娘さんが使い続けるかもしれない。使用頻度の低いものや、買い過ぎた備品をしまっておく場所に使えそうだと、お客様からのご意見を頂けた。
採寸して、図面を書いて、地元の家具屋に相談してみようと思う。