住宅を作る会社について

住宅を作る会社は色々ある。一般の方には区別が付かないだろう。

 

まず、最初に思い浮かべるのは、工務店とハウスメーカーだと思われる。どちらも、設計から施工まで一貫して行う点は共通している。違いは、創業の背景である。私がイメージしている全体像を解説します。

 

古くから在る工務店の形式は、大工さんが棟梁になり、作った工務店である。材木を保管し、それを加工する工場を持っている。弟子を抱え、指導しながら、営業、設計、施工、アフターメンテナンスまで、棟梁が行う。地域の神社や集会所の修繕なども行い、地域に根付いた活動をしている。昔ながらの工法に精通している一方、新しい技術の習得が追い付いていないケースが多い。そのため、外部で開発された商品のFC加盟店となり、それを自社の商品として売っているパターンが多い。80年代の成功体験があるので、社会の変化に適応出来ず、会社の規模を縮小しているか、廃業している会社が多い。しかし、アキュラホームのようなレアケースもある。

 

80年代に現れたもう一つの工務店の形式は、現場監督が中心となって出来た工務店である。自社で大工を抱えてる事もあれば、外注していることもある。この工務店は、外部の設計事務所の仕事を請け負っている事が多い。そこで培われた経験から、施工図をきちんと描き、技術力の高さを売りにしている会社もある。アトリエ系建築設計事務所の仕事しかしていない会社もある。そのような会社のHPを見ると、デザイン性に富んだ施工事例が沢山掲載されているが、自社で設計したものではない。そのため、設計事務所を紹介するサービスやマッチングサービスを行っている会社が多い。比較的、富裕層向けのサービスである。

 

また、珍しいケースとして、住宅営業出身者が作った工務店もある。どんな仕事でも、スタートは営業からである。営業を行わないと仕事が生まれない。大工の工務店と現場監督の工務店は、モノ作りが好きで始めているので、技術力を磨くことに一生懸命で、営業の重要性をきちんと認識できていないケースが多い。その盲点をついて、お客様の信頼を得て、成長した会社がある。もともと技術力がないので、生産の現場とのコミュニケーションが失敗すると上手くいかない。欠陥や瑕疵が発生し、トラブルになり、信用を失う。成功事例としては、タマホームと平成建設が有名である。タマホームは施工は全て外注だった気がする。実際作っているのは、地元の契約をした工務店なのだろう。ハウスメーカーに近い形態だ。平成建設は、大工を抱え、工場を持ち、グッドデザイン賞を受賞するような設計部門が自社にある、優秀な会社である。

 

住宅営業の出身者が作った工務店と似ているのが、不動産屋から始まった工務店である。住宅を作ろうと思えば、どこに建てるかがテーマになります。また、土地と建物を同時に考え、どこにどんな建物を建てようかと考えるのが、普通の発想です。土地の相談で信頼関係ができれば、その流れで建物の相談もしたくなるのが人情です。もともと営業力があるので、自然に出来てしまいます。それを何度も経験している内に、外部の住宅商品を活用し、自社で設計施工をしてしまうのです。建売と注文住宅のどちらも出来る所が強みです。しかし、不動産部門の意見が社内で強く、設計や技術的な意見が社内で通りずらい様です。その結果、優秀な設計者ほど辞めてしまい、設計を外注しているケースが多いです。

 

そして、最近ジワジワ来ているのが、設計者が中心となり始めた工務店である。モノ作りの要である設計を重要視してる。お客様への提案力と設計力、生産の現場への伝達力と設計精度、等により、安定した品質の住宅を提供している。設計が好きで始めているので、性能表示制度、外皮計算、温熱環境シュミレーション、耐震化、などの新しい技術的な知見を取り入れることに対応できているケースがほとんど。設計者が現場管理を行うので、経費を圧縮し、デザイン性に富んだ住宅が、リーズナブルな価格で提供できる。少人数の会社がほとんどで、親切丁寧、顔の見える関係を大切にしている。小さなリフォームやお悩みレベルの段階から、相談を受けられる。設計施工之コ―タローもこの部類に入ります。

 

次回、ハウスメーカーとその他について、解説します。